凍りのくじら/辻村深月
ドラえもんで育った人ならより一層共感させられる
小さな頃はどんなアニメを観て育ちましたか?
きっとドラえもんを観て育った人も少なくないはず。
私もドラえもんで育った一人で、王道すぎるけど『どこでもドア』が欲しいと願う人生です。笑
ドラえもんの映画も大好きで、何度も何度も繰り返しレンタルして観てたのは『ドラえもん のび太とアニマル惑星』『ドラえもん のび太の日本誕生』『ドラえもん のび太とブリキの迷宮』だったかな。
このお話も主人公がドラえもんに強く影響されてる。
各所にドラえもんの道具が登場し、自然と親近感を持ってストーリーに入り込んでしまう。
カメラマンとなった主人公に起きるのは偶然のようで必然の出来事。
全てが繋がった瞬間、自然と涙が頬を伝う感動作品です。
【あらすじ】
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛するカメラマンの父が失踪して5年。高校生の理帆子は母との関係もうまくいかず、他人ともどこか距離を感じながら合わせて過ごす。
そんなある日、夏の図書館で「写真を撮らせて欲しい」と言う一人の青年に出会う。最初は警戒しつつも、彼にだけは少しづつ心を開いていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。
みんなが愛するドラえもんの道具が照らした結末が全てを繋いでいく。
不思議なんだけど、現実味があって
切ないんだけど、心が温まる。
そんなお話。
私はこの本を電車で読んでいたんだけど、結末に近付くに連れて涙を堪える事ができなくて。
本を閉じては心を落ち着けて、を何度も繰り返しながら読みました。
あっという間に世界に入り込んでしまう。
辻村深月さんの持つ綺麗な文章表現や丁寧な物語運びが美しかったです。
読みやすい上に読み応えも充分にあり、すごく良い読書の時間を過ごすことができました!